国重要無形民俗文化財
ぎふ長良川鵜飼は、平成27年3月に「長良川の鵜飼漁の技術」として国の重要無形民俗文化財に指定されました。農林水産業に関わる技術の指定は日本初です。
無形民俗文化財とは、日本の風土の中で生まれ、現代まで受け継がれてきた無形の文化財です。わが国にとって特に重要であるものが、国の重要無形民俗文化財に指定されます。
[文化財の特色]
鵜飼漁には、漁師自らが川に入って徒歩で行う徒歩(かち)鵜飼と船に乗って行う船鵜飼があり、船鵜飼は鵜の扱い方から鵜に縄をつけて操る繋ぎ鵜飼と鵜を放って行う放ち鵜飼に分けられる。我が国では、徒歩鵜飼と船鵜飼での繋ぎ鵜飼が広くみられ、前者から後者へ展開する中で、多くの鵜を扱えるようになったとされる。
本件は、船鵜飼での繋ぎ鵜飼にあたり、他地域の繋ぎ鵜飼と比べて操る鵜の数が多いことから、最も発達した鵜飼漁として技術の変遷の過程を示している。
また、川面を照らすために篝火を用い、鵜匠の継承も厳格に行われるなど、伝統的な技術を伝えており、地域的特色も顕著である。(「文化庁資料より」)
首結いの結び加減
まわし場で、鵜匠が鵜に結う「首結(くびゆ)い」と「腹掛(はらが)け」。特に首結いは、その日の漁獲を左右するため、鵜匠の重要な技術の一つに数えられています。
首結いの紐は、鵜匠が麻の繊維を撚(よ)ったものを用います。鵜の首に当たる部分は緩く撚り、縛る部分はきつく撚ります。麻を素材とするのは、鵜にとって触れ心地が良いことに加え、水に濡れると締りやすいからだと言われています。
出漁時刻が近づくと、鵜匠は首結いを鵜の首の付け根あたりに結います。大きな魚が首で止まり、小さな魚が首を通って鵜が食べられるよう、長年の経験に基づき最適な結び加減で素早く結います。また、首結いがずれるのを防ぐため、首の後ろから左右の羽根元を通して腹に紐をつけます。これが腹掛けです。
船上における洗練された動作
鵜匠は鵜舟の上で、魚を捕らえた鵜を船縁に引き上げ、吐け籠に魚を素早く吐かせたり、火の勢いが弱くならないよう、篝に松割木を足したりするなど、複数の動きを同時かつ迅速に行わなければなりません。
中でも特に重要な動作は、「手縄(たなわ)さばき」です。手縄とは、鵜と鵜匠を繋ぐ縄を指し、鵜匠は最大12本の手縄を左手で握ります。手縄の動きを指で感じて鵜の動きを測るために柔らかく握り、鵜が動いた時に親指で抑え込みます。この力加減が大切です。鵜が動けば次第に手縄はもつれ、絡まっていきます。絡まりすぎると手縄が短くなり、鵜の活動が制限されてしまいます。そこで鵜匠は、絡まった手縄を右手で引き抜き、左手に戻します。この一連の動作が手縄さばきです。